血糖値が上がるとなぜ悪い、体に及ぼす悪影響とは?
血糖値が高いと悪いと言われますが一体何がそんなに悪いでしょうか?
健康診断などで「血糖値が高いので生活習慣を改善してください」と言われた経験のある方の多くが思いつくのが糖尿病になるのではないかという漠然した不安だと思います。
この記事では「高血糖の何がそんなに悪いのか」に焦点を当ててみます。
高血糖は高血圧につながる
私は昔、化学の先生に自然界は平等が好きというお話を聞いたことがあります。
自然界は不足すると補い、増えすぎると減らすというようにバランスを取ろうとします。
自然の一部である人体も同じことが言えます。
高血糖になると血液中のブドウ糖の濃度が高くなり、血液中の水分を増やして血管外の浸透圧と血管内の浸透圧を平等にしようとする力が働きます。
この水分量の調整機能によって血液内のブドウ糖の濃度を薄くしようとしているわけです。
血管内の水分が増えると流れる血液量が増えることになりますので血圧が上がります。
その上、心臓にも負担をかけてしまいます。
血糖値が上がると食欲が上がる、そして肥満へ
高血糖になるということはインスリンの働きが十分でないということです。
そうなると食べても食べても細胞にブドウ糖(エネルギー)が吸収されないので、脳がエネルギー不足という信号を出し食欲が増進されてしまいます。
そして食べても満腹を感じにくいことから間食をしてしまったり、食べ過ぎたりしてしまうわけです。
脳はエネルギー不足だと判断していても体の中には無駄な栄養が余っている状態になるので血糖値が上がり、細胞に吸収しきれなかったブドウ糖が血液内にあふれます。
余分な栄養は脂肪として蓄積されますので肥満の原因になります。
さらにこれが過剰になると高血圧や尿に糖が混じる糖尿病の症状が表れます。
血管を痛めてしまう、そして合併症のきっかけに
血糖値が上がると、まず最初にダメージを受けるのが血管です。
具体的に言うと「白血球」や「血管内皮細胞」です。
糖尿病の最もおそろしい所がこの血管へのダメージです。
なぜ恐ろしいのかと言うと、糖尿病の合併症につながるからです。
特に合併症の影響を受けるのが「網膜」「足」「腎臓」です。
悪化すれば失明、壊疽、人工透析になります。
血管は体中に張り巡らされており血液が上手く循環しないということは、その部分の細胞が死ぬということです。
血管へのダメージは痛みも辛さも感じない上に5年、10年をかけてゆっくり進行してゆき、自覚症状が表れた時にはすでに手遅れになっていることが多いです。
私が「糖尿病は5年先を見据えて予防や治療をしなくてはいけない」と忠告しているのは、ゆっくり進行し異常に気付かない境界型糖尿病(糖尿病予備軍)の期間が長いからです。
そして軽度ならそれほど気をつけなくても一時的に快方に向かってしまうこともあるので、それがさらに予防(治療)への緊急性を下げてしまうわけです。
良くなったり悪くなったり、これが糖尿病の落とし穴です。
高血糖がもたらす合併症の恐ろしさ
上の記事で高血糖になると「失明」や「壊疽」などの神経障害になる危険性が高まるということを書いたと思います。
ここでは実際に糖尿病の合併症で白内障と壊疽になってしまった私の知人の矢野さんという方のお話をしていきたいと思います。
なぜ合併症になるのかの蘊蓄を書くよりも合併症になってしまった人の体験談を書くほうがより深刻度が伝わりやすいと思ったからです。
合併症の蘊蓄については前記事で少し触れていますしね。
話を戻します。
矢野さんは当時42歳、お仕事がとても多忙であるプロジェクトの責任者でもあったことから家にも仕事を持ち帰り、かなりのプレッシャーとストレスを溜めており心身ともに疲弊していたそうです。
彼はそのストレスを食べることで発散させており、特に以前はあまり口にしなかった甘いものを好んで食べるようになりました。
奥さんも異常に気付き、間食を控えるように注意をしていたようです。
それでも夜中に隠れて食べていたようで、会社の健康診断で高血圧と高血糖と診断されましたが病院に行く時間を惜しみ、放置していました。
そこから数年は疲労感を感じるものの特に大きな体調不良もなく過ごしていましたが、次第に寝ても疲れが取れなくなり常に疲労感を感じて肩や背中の痛み(凝り)、さらには喉が渇くことが多くなって水が手放せなくなり、1日に何回もおしっこに行く頻尿になりました。
また同時期に奥さんからトイレの便器が掃除をしても数日で黄色く汚れている、貴方のせいじゃないのと愚痴をこぼされていたとも仰られていました。
この時も「まさか自分のせいとは思わなかった(トイレは他の家族も利用するので)」そうです。
そして、いよいよ変だと気付いたのは以前怪我をした足の傷が化膿しそれがどんどん広がっていったことです。
ちょっとした怪我ですぐに化膿するようになりました。
さらに放置して数カ月、少し指で押しただけで膿が傷口からあふれ出し、異臭を放っていました。
それでも病院に行かず自分でこっそり隠れて消毒をして誤魔化していたようですが、足が浮腫んで黒く変色し始めてそこで壊疽が起こっていることを自覚したそうです。
その時には傷口を塞いでいても腐敗臭があふれ、歩き方も変なので家族も気付いたことで足の異変がバレてしまい有無を言わさず病院に連れて行かれたそうです。
本人も薄々感付いていたみたいですが診断名は糖尿病、すでに切断するしか治療方法が無くすぐに入院、切断となり右足を膝下から失いました。
一緒に受けた目の検査でも白内障が始まっており、こちらも手術となりました。
矢野さんが糖尿病を起こす最初のきっかけはストレスでした。
@ストレス⇒A甘いものを食べる⇒B血糖値が上がる
⇒@〜Bをループ⇒(長い潜伏期間)⇒Cさらに血糖値が上がる
⇒D尿糖が出始める⇒E傷が治りにくくなる・喉が渇く・頻尿
⇒F壊疽が始まる⇒G糖尿病の確定⇒H合併症を併発
彼の場合はこんな感じでした。
「わかっちゃいるけどやめられないで奥さんの忠告を無視」
「異変に気付きながらも放置してしまった」
これが彼のターニングポイントだったということです。
糖尿病はきっかけは何であれ他人の忠告を「治療の良い機会だ」と思って素直に受け取るか、「痛くも辛くもないし大丈夫でしょ!」と無視するかで運命が大きく分かれる病気ですね。












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