血糖値を下げるを意識した食事と分量

血糖値を安定させる食事とは、何をどのくらい食べれば良いの？

適切な食事量はピラミッドを意識する

血糖コントロールを意識するときに何をどのくらいの量を食べれば良いのか困ってしまうことはあると思います。

病院の食事指導でやり方を教えてもらっても難しくて正直なところ自分のほかに管理してくれる家族がいないと挫折してしまう人も少なくありません。

そこで血糖コントロールを意識した食事を家庭で一人でも実践できるようにするためには出来るだけ考え方をシンプルにする必要があります。

まず、以下のように食事を4つのカテゴリに分けます。

①油脂（12ｇ）、砂糖（6ｇ）、調味料（15ｇ）
脂質は完全に絶つのではなく適量摂取したほうが良い食品です。1日植物油は大さじ1（12g程度）、少ないと思われるかもしれませんが肉や魚などの食品にも油が含まれているのでこれが適量です。

②肉や魚（50ｇ～200ｇ）、大豆製品（50ｇ～200ｇ）
糖尿病には高たんぱくの食品が良いと聞きますが、取り過ぎはダメです。特に肉や魚は脂身の少ない部位を食べて夜は控え目にします。しかし大豆製品は積極に食べるようにしましょう。コレステロール値が高い人は卵は1日起き程度にしてください。

③緑黄色野菜（120ｇ以上）、淡色野菜（230ｇ以上）、きのこ・海藻類（適量）
食物繊維を豊富に含むので肥満や動脈硬化の予防、血糖値の安定には重要な食材です。いろいろな種類を1日350g程度摂取してください。食物繊維は1日20ｇ程度が推奨量です。食物繊維は食事だけで補うことが難しいのでサプリや野菜ジュースなどの栄養補助食品を併せて摂取すると良いと思います。

④穀類（150ｇ×3食）
血糖値を上げやすい食品ですが一定量の摂取は必要です。パンや麺類は避けて白米、できれば玄米や五穀米などを食べるようにします。理由は租借回数が増えてることにより、満腹感を感じやすくなり、さらに血糖値を下げる効果がアップするからです。また穀類はエネルギー源なので摂取量を減らすことはあっても完全に断食してしまうのは健康的とは言えません。

そして1日の総摂取カロリーを1600kcalと仮定して、これらの摂取量を①（少）⇒②⇒③⇒④（多）のような比率にしてピラミッドを意識します。

内容は一汁三菜または一汁二菜にしてください。

自分はどくらいのカロリーを摂取したら良いの？

身長（ｍ）×身長（ｍ）×22＝標準体重（kg）

標準体重（kg）×※1身体活動量（kcal/kg）
＝適正な摂取カロリー（kcal）

※1：体重1kgあたりに必要なエネルギー量です。1日の活動レベルによって3つのカテゴリに分類します。

身体活動量の決め方

【低い】25～30
1日の運動量が少ない人や肥満気味の方、デスクワークが主な方や1日1時間程度しか歩かない方

【普通】30～35
1日2時間程度、歩く方、立ち仕事が多い方

【高い】35～
力仕事に従事している方、強度の運動をする方

高血糖の改善は、なぜ単純に糖質制限とカロリー制限だけではダメなのか？

血糖値の改善に推奨されることも多い糖質制限やカロリー制限ですが、やはり単に糖質やカロリーを減らすだけですと体が必要とする栄養分が足りずに筋力低下をもたらします。

そうすると体は栄養不足、エネルギー不足という信号を発信するので空腹感が起こり、食事制限をしていてもつい食べてしまってい思い通りの食事療法の妨げになってしまいます。

そして食べ過ぎると今度は中性脂肪が増えて肥満や脂肪肝の原因になります。

これを避けるために適量の食事量と必要な栄養素を過不足なく摂取することで無駄な空腹感と筋力低下を抑えることができます。

基本は炭水化物（50％～65％）+食物繊維+糖質、たんぱく質（13％～20％）、脂質（20％～30％）の割合で摂取することが理想です。

次にミネラルはこれらの栄養素が効率的に利用されるために必要不可欠です。

特に食物繊維は糖質制限には欠かせない成分で血糖値を下げるという目的を達成するためには無くてはならない栄養素となります。

食物繊維の1日の推奨量は男性が20ｇ、女性が18ｇくらいです。

食物繊維は、きちんと糖尿病の食事療法にあるような模範的な献立を毎食準備できる方は良いのですが、それが難しい方は食事だけまたは野菜ジュースだけでは目標をクリアできません。

この理想的な食事療法を実践するためには家族の協力が必要ですし、ひとり暮らしであれば自分で料理ができて3食きちんと食べる時間があって、かなりの自己管理が必要になってくるでしょう。

無理なく確実に実践したいのであれば糖尿病食の宅配を利用されるのが最も簡単です。

また食物繊維に良い働きをしてもらうためには腸内環境も良くしておかなければなりません。

理由は高齢の方やお腹の調子が悪い方が食物繊維を取り過ぎると下痢になったり便秘になったりするからです。

糖質制限を優先して行うほうが良い場合もある

基本的には栄養バランスの良い食事を適正カロリーで摂取することが食事療法の前提であるのですが、場合によっては糖質制限を優先するほうがよい場合もあります。

それは運動や食事制限を十分な時間をかけて実践できず（仕事が忙しすぎるなど）、かつ肥満で血糖値が高い場合です。

肥満の方の場合は痩せるだけで血糖値や血圧が改善する場合もあり、まず痩せることを優先させるために糖質制限（炭水化物制限）を最優先事項とすることがあります。

そこで肥満型の高血糖患者の場合は食事制限だけでなくやせ薬を併用することがあります。

痩せ薬は病院で処方されるもので市販のサプリやダイエット食ではありません。

食事制限やダイエット食だけでも痩せることは可能なのですが、リバウンド率が高くなる傾向があり一時的な効果で終わってしまう可能性が高いです。

実際にそういうデータがあるようです。

また運動で痩せるという方法もありますが、専属のトレーナーをつけてジム通いしても成功する人は全体の3割程度と言われており決して成功率が高いとは言えません。

そこで、成功率を高める方法として病院で処方される痩せ薬とダイエット食を併用する方法が存在します。

ダイエット食を用いるのはカロリー制限をしつつ、ビタミンやミネラル、食物繊維などほかの栄養素が不足しないようにするためです。

もうひとつの理由は薬だけ、ダイエット食だけではどれだけ徹底して管理しても1年に1キロも痩せないという結果に終わったからです（一時的には痩せてもそれを維持できない）

使用するダイエット食はスムージータイプやスティック菓子タイプ（カロリーは1食200kcal程度のもの）のものを使用し、全行程3カ月のうち最初の1週間だけ使用します。

痩せ薬の量が減る10週目からの食事量はご自身の適正な摂取カロリー量と炭水化物の取り過ぎに注意しながら普通の食事をして頂いて構いません。

痩せ薬は10週目くらいまでは2錠（使用する薬により変わる）、10週目から12週目からは1錠に減らし、それ以降は服用をやめます。

同時に10週目くらいまで運動も週3回程度、水中ウォーキングを実践します。プールが近くにない場合は普通のウォーキングでも構いませんが水中のほうが水圧のおかげで運動量が増えるので、通常より短い時間の実践で済みます。

10週目以降からは週2回程度で構いません。

痩せ薬とダイエット食の併用効果はどのくらいか？

さて、この痩せ薬とダイエット食の併用がどのくらいの効果をｌ発揮したかですが21kgの減量に成功した方もいらしゃるようです。

この方法は糖尿病の専門医の中にも使用されている方がいる実際の成功例のある方法です。

実践されたい場合は医師に相談する必要がありますので、通販で怪しげな痩せ薬を購入しないようにしてください。

念のため、痩せ型の人にはこの方法は向いていません。

血糖値を安定させる食事の回数と食べ方

食事療法による食生活の見直しは一朝一夕にには難しいかもしれませんが、実践が簡単なところでは食事の回数と食べ方を工夫することでも血糖値の安定を図ることができます。

まず食事の比率を朝3：昼4：夜3で比重をおき必ず1日3食、ゆっくりと最低でも15分以上かけて食べます。

なぜなのかというと
■脳が満腹感を感じるのに15分くらいかかるからです。

■1日2食だと1回の食事量が増える傾向にあり、血糖値が上がりやすくなるからです。

■血糖値の日内変動リズムを正常に保つためです、食事が不規則だと膵臓に負担がかかってしまいます。

■空腹感に耐えて我慢しているとイライラしてしまって減量や食事療法を失敗させてしまう心理状態にも陥りやすくなってしまいます。

ですので意識してゆっくり時間をかけて噛んで、いろいろな食材で調理した食事を心かげて頂きたいのですが、どうしても早食いをしてしまったり、仕事などに追われて時間をかけて食べられないときはコンビニなどでお惣菜を選ぶときでも、できるだけ食物繊維が豊富でしっかり噛まないと食べられないものを取り入れてください。

例えば、糖尿病食に推奨されている海藻や野菜には食物繊維が豊富に含まれていますので自然と噛む回数が増えて、その結果、食事に時間がかかるようになります。

計算された糖尿病食並みの食事に毎日気を配ることが難しい人は、トクホで販売されているような血糖値の上昇をゆるやかにする系の飲料と一緒に食べたり、優先事項として炭水化物を抑えた献立にしましょう。

また食べる順番も野菜などの食物繊維、次に肉や魚、最後に炭水化物の順に15分以上時間をかけてゆっくり食べるようにしましょう。

理由は炭水化物から先に摂取すると血糖値が急激に上がってしまうからです。